中卒・高卒の人向け!警察官の採用試験の具体的な内容と対策

試験勉強

中卒や高卒の人でも安定したキャリアが期待できる警察官の仕事。

警察官採用試験の合格率は、警視庁が公表している平成30年度のデータによると男性は6.6倍、女性は9.5倍となっています。

公務員の仕事は職種によって警察官よりも採用倍率がはるかに高いものも多いですが、だからと言って油断をしてはいけません。

予備校や専門学校に通って勉強を続け、合格を勝ち取る人も多いので、十分な対策と準備が必要になります。

そこで今回は、警察官になるための採用試験について具体的な内容と対策を紹介します。

目次

中卒・高卒の人向け!警察官の採用試験の具体的な内容と対策

中卒・高卒の人が警察官になるためには、警視庁の「Ⅲ類」、道府県警察であれば「警察官B」の採用試験を受験することになることがほとんどです。

試験内容は、実施する都道府県によって違いがあるので、詳細は各都道府県警察の採用窓口やウェブサイトで確認ください。

今回は警視庁の「Ⅲ類」の採用試験を前提にご説明していきます。道府県警察で言うと「警察官B」に相当します。

警視庁による警察官の採用試験は、2次試験まであります。

2次試験に通過すると、警察学校で警察官になるための教育を受け、晴れて警察官としてのキャリアがスタートします。

それぞれの試験内容の詳細と試験対策のポイントについてご説明します。

警察官の採用試験 1次試験の内容と対策

1次試験では、教養試験・論作文・身体検査・適性検査を行います。

1次試験では面接が無いため、主に学力や警察官の適性の有無によって合否が判断されます。

1)教養試験の内容と対策

教養試験は記述式ではなく、五択一式の試験になります。試験時間は2時間です。

知能分野と知識分野に分かれており、詳細は以下のとおりです。

  • 〈知能分野〉 文章理解、判断推理、数的処理、資料解釈、図形判断
  • 〈知識分野〉 人文科学、社会科学、自然科学、一般科目(国語、英語、数学)

上記の中でも、例年判断推理と数的処理の問題は出題数が多いようです。

この2つの分野が苦手な人は、しっかりと準備と対策が必要になってきます。

その次に出題数が多いのが、法律や政治・世界史に関する人文科学、社会科学となっています。

この辺りは、中学・高校の社会科や歴史の授業で学んだ内容が含まれているかもしれません。

ですが、国内外の政治の仕組みや歴史を理解していないと頭に入ってこなかったり覚えられなかったりする分野ではないでしょうか。

試験対策としては、予備校や専門学校へ通うことがおすすめですが、自分で手っ取り早くできることとしては、再度頭に叩き込むために問題集を購入して解いて勉強する、社会情勢などをわかりやすく解説した本を読むなどがあります

2)論文試験(作文試験)の内容と対策

論作文試験は、Ⅲ類の場合は作文試験が実施されます。

警視庁の採用試験の場合、課題は1題で時間は1時間20分です。

平成30年度に行われた警視庁警察官Ⅲ類の課題は、

『学生生活の中で得た最も大切なことを、警察官としての活動にどのように活かしていきたいか述べなさい。』  でした。

その他の道府県警察の過去の出題テーマも、自分が警察官になることへの将来像や抱負に関する課題を出しているところが多くありました。

Ⅲ類の場合は、時事問題や事実に対する課題より、自分の考えや価値観に関する課題となっています。

対策としては、何故警察官を目指そうと思ったのか、どんな警察官になりたいかといったことを考え、それをアウトプットできる状態にしておくことが大切です。

また、作文試験は文書の読みやすさ、内容に矛盾が無いか、正しい言葉づかいや漢字を使用できているかといった点も加味されます。

そのため、過去の課題を使って実際に作文を書いたり、学校の先生や両親など、第三者に書いた作文を添削してもらったりできると尚良いでしょう。

作文や論文は一見難しいように思うかもしれません。しかし、起承転結を意識して何回か実際に書いてみることで要領がつかめていくものです。

書き始めるまでは筆が重いかもしれませんが、試験本番でいきなり臨むとなると、時間制限のある中書き直したり構成を作り直すことになってしまったりすることもあるかもしれません。

書き慣れておくことで、どんな課題が出てもある程度対応できるようになるので対策として有効です。

3)国語試験の内容と対策

国語試験の実施時間は20分です。

過去の問題を見ると漢字の読み書き問題となっており、高校卒業程度の学力であれば解ける問題が多い印象があります。

しかし、中にはニュースや人との会話でよく聞くものの、漢字で書くとなると思い出しづらいような問題もありますので、油断は禁物です。

試験の対策としては、こちらも教養試験と同様、国語試験用の問題集や対策本が販売されていますので、それらを繰り返し解いていくと良いでしょう。

また、新聞を読むなどして一般的に使用されている漢字に慣れておくこともおすすめします。

面接対策として時事問題の情報収集もできるので、一石二鳥です。

4)資格経歴等の評定

警視庁の採用情報によると、様々な能力に秀でている人を積極的に採用したいというねらいから、スポーツ歴、情報処理、語学などの資格を持つ人はそれを評価する制度があります。

1次試験の評定材料になるため、提出できる資格があれば申請が可能です。

中学・高校の部活動で大会に出て成績を残したことなどがあれば、必ず提出しましょう。

5)第1次身体検査

1次試験では、身体測定、体重測定が行われます。

2次試験ではより詳細な身体検査が行わるため、1次試験の段階では、身体・体重測定のみとなります。

6)第1次適性検査の内容と対策

適性検査は、自身の性格や思考が警察官にふさわしいか判断するために実施されます。

警視庁の採用試験の場合、クレペリン検査やY−G式性格検査を適性検査に採用していることが多いようです。

クレペリン検査は、1枚の紙に数字が何列も羅列されており、その隣り合う数字をひたすら足し算していく試験になります。作業の正確性や、集中力を測る目的で実施されています。

Y−G式性格検査は、性格タイプを診断する検査です。価値観や行動等に関する120の質問が用意されており、その質問に対して自分がどれくらい当てはまるかを回答する内容になっています。

適性検査に関しては、対策の必要はありません。むしろ、対策をしようと考えない方が良いです。

採用されたいという気持ちが先行してしまい、「警察官ならどっちの答えが良いのだろう」と考えて回答をしたくなってしまうかもしれません。

しかし、自身の本来の思考や性格とかけ離れている回答で採用に繋がったとしても、警察官として採用されたときに職場で期待に応えることは難しくなるでしょう。

さらに、適性検査では回答に矛盾点が無いかも判定されますので、自分の気持ちに正直に検査を行いましょう。

警察官の採用試験 2次試験の内容と対策

1次試験の結果は、実施後2週間程度で郵送にて通知されます。

1次試験に通過するといよいよ最終試験の2次試験に進みます。

2次試験の実施内容は、面接・身体検査・体力検査です。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1)面接試験の内容と対策

面接の実施時間は、30分前後が目安となっているようです。

また、面接会場は武道館など広い場所で、他の受験者と同時に行われます。

周囲はがやがやしている環境ですので、すぐ隣で別の受験者の面接が実施している状況になります。

周りを気にせず大きな声で話すことを意識しましょう。

対策としては、想定される質問の答えを事前に考えておいて面接時に話せるようにしておくことです。

質問内容は、

  • 志望動機
  • 長所や短所
  • 学生時代について(部活動、一番頑張ったこと)
  • 両親は警察官になることに対してどう思っているか

など、基本的な質問が多い内容となっています。

ただ、時事問題に関する質問をされる場合もあるのでテレビニュースや新聞はよくチェックしておきましょう。

そして、ニュースや新聞をチェックするだけでなく、自分がどう思ったかまでまとめておきましょう。

面接を上手に進めるポイントは、結論を最初に伝え、その後にその理由を完結に伝えることです。

例えば普段の友人や両親との会話の中で、自分が質問したことに対してはっきりした答えがすぐに返ってこないとフラストレーションを感じてしまうことがあるのではないでしょうか。面接も面接官との会話の場ですので、相手にどう説明したらわかりやすく伝わるのか?を意識した回答をしましょう。

また、時事問題などの質問で答えられないものがあった時は、正直にわからない旨を伝えることが大切です。わからないまま回答をしても内容が矛盾してしまいますし、面接官は、『仕事でわからないことがあった時にあやふやなまま進める人物かもしれない』とマイナスな印象を持たれてしまいかねません。

わからないことを素直にわからないと答える勇気を持つことも大切です。

面接が終盤に近づくと、「最後に何か質問は?」「警察官になる上で要望はあるか」といった逆質問をされる場合があります。

このような逆質問に対して「特にありません」と答えるのはなるべく避けましょう。

逆質問は、警察官の仕事への熱意や、働くイメージがちゃんとできていることをアピールするチャンスです。

『要望を言って叶わなかったら落ちてしまうのでは?』と不安に感じるかもしれません。

ですが、警察官になった後でご自身が後悔しないためにも伝えておきましょう。

2)第2次身体検査

2次試験の身体検査は、1次試験より詳細に行われます。

警視庁の場合、以下の身体検査が実施されます。

  • 視力検査
  • 色覚検査
  • 聴力検査
  • 運動機能の検査
  • 医師の診察
  • レントゲン検査
  • 血液検査(貧血検査、肝機能検査、血中脂質等検査、血糖検査)
  • 尿検査

3)体力検査の内容と対策

体力検査の実施内容は以下の通りです。

  • 腕立て伏せ
  • バーピーテスト
  • 上体起こし
  • 反復横跳び

※実施内容が変更となる場合もあります。

警視庁の場合、体力検査の具体的な評価基準は公表されていませんが、ある自治体の警察官採用試験では下表のように種目別で得点基準を公表していました。

【男性】

種目/素点 0 10 20 30 40
反復横とび 36回以下 37~42回 43~48回 49~54回 55回以上
20mシャトルラン 31回以下 32~52回 53~73回 74~94回 95回以上
握力 35kg以下 36~42kg 43~49kg 50~55kg 56kg以上
腕立てふせ 14回以下 15~24回 25~33回 34~41回 42回以上
上体おこし 17回以下 18~21回 22~25回 26~29回 30回以上

【女性】

種目/素点 0 10 20 30 40
反復横とび 30回以下 31~35回 36~41回 42~46回 47回以上
20mシャトルラン 18回以下 19~32回 33~46回 47~61回 62回以上
握力 19kg以下 20~24kg 25~29kg 30~34kg 35kg以上
腕立てふせ 8回以下 9~17回 18~26回 27~35回 36回以上
上体おこし 9回以下 10~13回 14~17回 18~21回 22回以上

上記種目で200点満点、100点未満の人は不合格という基準を設けていました。

警視庁も同様の得点基準は配点とは限りませんが、一自治体の判定基準の実績として参考にしていただければと思います。

対策としては、時間がある限り日々トレーニングや練習をすることです。

中卒・高卒の若い人は体力に自信がある人も多いかもしれません。

しかし、警察官を目指す人の中には、体力や運動神経に自信がある人も多いはずです。

実施種目も公開されているので、運動があまり不得意でない人も、試験日に照準を合わせて練習を積み重ねていけば良い結果に繋がるのではないでしょうか。

まとめ

公務員試験というと難しそうに感じるかもしれません。

しかし、しっかり対策をすれば採用のチャンスを手繰り寄せることができます。

冒頭でも述べましたが、警察官は中卒・高卒でも同じ学歴の人より高い年収が期待できますし、社会貢献度もとても高い仕事ですので、周囲からの評価も高まるかもしれません。

警察官になるまでには試験に通過しなければなりませんが、そういったハードルを乗り越えて警察官になれたら、得られるものは多くあると思います。

一方で、確かに警察官は公務員職なので安定性のある魅力的な職業ですが、責任が大きく、様々な仕事や経験を積まなければならないことも多いでしょう。

目先のことだけに捉われずに、警察官としてどうなりたいか、どんな社会人になりたいか考えることが重要です。

作文試験の課題や面接の質問事項を通して、その答えを伝えることがアピールに繋がります。

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