近年、女性が活躍する職場は増えていて、さらに女性が働きやすい職場にするための改善活動も推進されています。
女性警察官も例外では無く、女性警察官は警察官全体の9%程度とその割合は小さいですが、年々増加しています。
そこで今回は、女性警察官だからできる仕事内容や、女性警察官の人数・年収・結婚後の働き方についてお届けします。
女性警察官だからできる仕事内容
女性警察官というと、警察署の窓口業務やミニパトによる駐車違反などの交通取り締まりを行っているシーンを浮かべる人も多いと思います。
しかし、実際に配属される部署は、
- 総務警務
- 生活安全
- 地域部の交番勤務
- 交通部の白バイ乗務員
- 刑事部の刑事
- 鑑識
など様々です。
女性警察官の仕事内容は、基本的には男性警察官と同じですが、住民の日常生活に密着したデリケートな案件では女性警察官ならではの気づきや思いやり等を活かすことができます。
例えば、女性や子供が被害者となっているストーカー、家庭内暴力(DV)、児童虐待等の犯罪では当人から事情を聞く場合には、男性警察官よりも相手を安心させられる女性警察官の方が適任だといわれています。
実際に、女性警察官で結成されている「さくらポリス」の名称で知られる、警視庁の「子ども・女性安全対策室」は、子供や女性を狙った痴漢、公然わいせつ、盗撮、ストーカーなどの取り締まりを行っています。
また、通勤電車などの痴漢行為などを取り締まる鉄道警察隊でも、被害に遭った女性の聴取などでも女性警察官の方が安心できます。
他にも、山岳地帯という過酷な条件下で人命救助や行方不明者の捜索を行っている山岳救助隊には、平成5年12月に女性警察官だけで構成された山岳救助隊「ブルーエンジェルス」が結成され、活発な支援・救助活動を行っていたり、大型の白バイで違反者を取り締まりを行う交通機動隊では、女性白バイ隊員も全国で増えています。
女性警察官の人数推移と今後のニーズ
日本人初の女性警察官(当時の婦人警官)は、1946年(昭和21年)に誕生したと記録されているようです。
その後の全警察官に占める女性警察官の割合は、近年警察庁が刊行した「平成30年警察白書」によれば全国の女性警察官は2万4,587人で全体で占める割合は9.4%となり年々増加しています。
女性警察官の能力や特性は、女性が被害者となる性犯罪や配偶者からの暴力事案等において活かされており、暴力団対策・警護等多くの分野にその職域が広がっています。
警察庁では、警察官の質の確保と男女共同参画社会の実現等のため、都道府県警察に対して、女性警察官の採用・登用の拡大に向けた計画を策定するよう指示しています。
都道府県警察は、この指示を受けて
- 女性警察官の交番勤務への配置拡大に伴う環境整備(例:女性仮眠室)
- 女性警察官にとって使いやすい装備・資機材や施設等の整備
- 性犯罪捜査、女性被留置者の処遇、その他の女性警察官が従事することが多い業務に関する教養の充実
など、女性が働きやすい職場整備の取り組みを計画し実行されています。
女性警察官の人数増加や職域の拡大が続いていることからもわかりますが、今後も女性警察官のニーズは高くなっていくでしょう。
女性警察官の年収など待遇
女性警察官の年収・昇給・昇格は、基本的には男性と同じです。
高卒の警察官の勤続年数ごとの平均年収は、
勤続年数 | 平均年収 |
1年未満 | 289万円 |
1年以上2年未満 | 300万円 |
2年以上3年未満 | 315万円 |
3年以上5年未満 | 338万円 |
5年以上7年未満 | 365万円 |
7年以上10年未満 | 399万円 |
10年以上15年未満 | 445万円 |
15年以上20年未満 | 525万円 |
20年以上25年未満 | 606万円 |
25年以上30年未満 | 650万円 |
30年以上35年未満 | 679万円 |
35年以上 | 695万円 |
参考)平成28年地方公務員給与実態調査より
女性警察官の結婚後の働き方
結論から言うと、女性警察官は結婚後も働くことが可能です。
そして、仕事と不妊治療・出産・育児・家族介護等の両立の制度も整っています。
- 短期不妊治療休暇
男女とも1年において6日を超えない範囲内で必要と認める日または時間の休暇を取ることができる。 - 体外受精または顕微授精による不妊治療を受ける場合の休暇
1年を超えない範囲内で必要と認める日 - 妊娠中の職員の通勤混雑緩和休暇
交通機関の混雑の程度が母胎の健康保持に影響がある場合に混雑を避けるための休暇。
勤務時間の始めまたは終わりに1日を通じて1時間を超えない範囲内で取得できる。
ほかにも、出産・育児休暇に加えて、
- 育児短時間勤務
小学校就学始期に達するまでの子を養育する場合短時間勤務。 - 部分休業
小学校就学始期に達するまでの子を養育する場合の部分休業。 - 介護休暇
常時介護を必要とする配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫・叉は同居している父母の配偶者・配偶者の父母の配偶者・子の配偶者・配偶者の子を介護する場合の休暇。
等の制度が整っており、妊娠・出産・育児・家族介護は守られていて、安心して定年まで働くことができます。
まとめ
過去には、職場によっては女性は結婚すると退職されると思われていた傾向があり警察官も同様でした。
しかし、結婚や出産後も仕事をしたいという女性は増えており、社会もそれを応援する流れになっています。
この動きによって、待遇も良くなり働きやすい職場環境に改善され、休暇も取得しやすい環境が整備されてきています。
同様に女性警察官の仕事の環境も整備されてきており、今後も女性のニーズが高くなる職業です。
警察官の仕事に興味のある人は、この機会に検討してみてはいかがでしょうか。