最終学歴が中卒・高校中退の人にとって、就職・転職は非常に厳しい現実が壁となって立ちはだかります。
中卒の人が就職・転職を成功させるには、まず厳しい現状を把握することから始まります。
そこで、中卒だと仕事がない、就職・転職がむずかしい具体的な理由や背景についてまとめました。
理由1 就職時のライバルは自分より高学歴
中学卒業時に就職した人の割合を調査してみました。
参考にした資料は、文部科学省ホームページ 学校基本調査/年次統計「進学率(昭和23年~)」「卒業者に占める就職者の割合(昭和25年~)」です。(2019/5/18現在の数値を使用)
中学卒業時に就職した人(%) | |
1950年(昭和25年) | 45.2 |
1970年(昭和45年) | 16.3 |
1990年(平成2年) | 2.8 |
2018年(平成30年) | 0.2 |
1950年(昭和25年)では、中学校卒業したら45.2%の人は就職していましたが、年を追うごとに減少して、現在では0.2%です。
0.2%というのは、1000人に2人という極めて低い割合です。
残りの人たちは、ほぼ全員が高校や高等専門学校などへ進学します。
参考までに、高校卒業後に大学へ進学する割合は50%を超えています。
したがって、中卒の人が求人に応募したとき、ライバルとなるのは自分より学歴の高い人たちとなります。
最近では「日本はもう学歴社会ではない」とか耳にすることがありますが、数値の推移や状況からみても日本はまだまだ学歴を重視している社会だと言うことができます。
よって、採用試験にて学歴を重視されるため、応募してもなかなか採用してもらえない状況が続きます。
理由2 学歴不問でも書類選考を通過できない
求人情報で「学歴不問」の案件を見つけると希望を持つと思いますが、実際には書類選考で落とされるケースが多いです。
その背景には以下のようなものがあります。
- 企業側が中卒者の応募を想定せずに募集をかけている
- 応募者が複数いた場合、企業側は業務経験者や学歴を優先する
- 中卒者が未成年の場合、労働基準法の保護規定により労働条件に様々な制約がある
これらの理由により、中卒・高校中退者は求人応募の書類選考の時点ですでに不利になる現状があります。
理由3 面接でのアピールが弱い、印象が薄い
面接のとき、身だしなみ、言葉使い、礼儀作法に気を付けるのは当たり前ですが、質問に対する答えを十分にできていないケースがあります。
- 志望動機
- 入社してどんな自分になりたいか
- 会社にどのように貢献したいか
- 得意なこと・苦手なこと
- 自分の長所・短所
- 短所をカバーするために気を付けていること
- これまでの人生で最も頑張ったことは何か
面接時、これらの質問で困った経験がある人もいるのではないでしょうか?
大卒者の場合、これらのことに対して答える内容を準備していることがほとんどです。
また、学生経験年数も中卒者よりも長いので、これまでの生活で得たアピール材料も多く持っている可能性が高いです。
面接官からの質問に対して、言葉に詰まったり、一言二言を答えて終わらせてしまうと、考えや想いも十分に伝わらず印象も薄くなってしまい、ライバルとの差もついてしまいます。
理由4 中卒者に対する企業側の印象がネガティブ
面接でのアピールとダブる部分でもあるのですが、採用試験や面接の時に、企業側が中卒者に対して持っている印象を解消できないケースもあります。
例えば、
- 勉強が嫌いで高校へ進学しなかったのでは?
- 勉強が嫌いで高校中退したのでは?
- 生活態度に問題があり中卒なのでは?
- コミュニケーション能力に問題はないか?
- 継続して努力できないのでは?
- 苦しい状況になったらすぐに投げ出すのでは?
などなど、高校を卒業していないと企業側はネガティブな印象を持っていることが多いです。
理由5 中卒者は就職後の離職率が最も高い
中学卒業後、初めて務める会社を3年以内で辞める人は60%を超えています。
(参考)厚生労働省「新規学卒者の事業所規模別・産業別離職状況」
非常に悪い定着率です。
また、離職率を高い順に並べると、「中卒>高卒>大卒」という結果もあり、中卒は最も離職率が高いです。
会社を辞めてしまう背景には、
- 非正規での雇用
- 昇給・昇格が難しい
- 給料が学歴で差が出る
- 高学歴の人が敬遠する仕事(きつい仕事)
- 就活時の検討が不十分
- 理想と現実のギャップが大きい(知識・人生経験が浅い)
などがあり、中卒の人は何とか就職して仕事を始めても苦しい状況が続き、会社を辞めることになってしまうことが多いようです。
以上のことからも、中卒の人に対して企業側が持っている印象はネガティブなことが多いです。
最後に
中卒の人、高校中退の人にとって、読んでいてとてもつらい内容だったと思います。
まとめると、
- 日本の社会は、個人の能力を学歴で判断・推察する風潮がある。
- 就職できたとしても、職場環境や労働条件や個人の能力が要因となり離職する人が多い。
- 離職後の再就職も難しい。
が、中卒で仕事がない理由となります。
しかし、これらの状況を踏まえて仕事さがしの準備を行えば、仕事がない状況から脱出するのが早くなります。
そのための方法やコツを他の記事で今後もお届けしていきますので是非参考にしてみてください。